ユニセフ(国連児童基金)の基幹刊行物『世界子供白書』では、毎年、世界全体の子どもたちに関する統計データや、子どもたちに影響を与えている様々な問題・課題をテーマに、世界の傾向を包括的に分析したレポートを掲載しています。公益財団法人 日本ユニセフ協会(東京都港区 赤松良子会長)は、本年6月28日に発表された『世界子供白書2016(原題:The State of The World’s Children 2016)』に掲載されている統計データの日本語翻訳版を、この度発表しました。統計表のPDF版は、特設サイト(http://www.unicef.or.jp/sowc/data.html)にてご覧いただけます。
■“マスメディアの利用率”も~多岐に渡るデータを掲載
世界子供白書の統計表は、人口、教育、保健などの基本指標のみならず、子どもたちのインターネットなどのマスメディアの利用率に関するものまで、多岐にわたるデータを紹介しています。子どもの生死に関わるものから、水やトイレの利用、貧困下で暮らす人の数、児童婚や出生登録の割合などのデータを、国別は勿論のこと、南米・アフリカ・アジアなどの地域別、そして世界全体での数値の形で掲載しています。
子どもたちの生活の向上や権利の実現のためには、状況を示す証拠=データが不可欠です。データがあれば、さまざまな環境下で暮らす子どもたちの間の格差が可視化され、平均値に埋もれている取り残された子どもたちを見つけることもできます。最も貧しい子どもたちは、最も裕福な子どもたちと比較すると5歳の誕生日を迎えずに亡くなる可能性は2倍に上ります。また、最も貧しい世帯の女の子が、最も裕福な世帯の女の子と比較して、幼くして結婚する割合も2倍に上ります。こうしたデータを活用すれば、最も支援を必要としていながら、これまで支援が届けられ難かった子どもたちへの支援も、推進することができます。
■世界子供白書2016 統計表に含まれるデータ例はこちら
>http://prtimes.jp/a/?f=d5176-20160808-6525.pdf
■「世界子供白書2016」製本版は、今月末発行予定
『世界子供白書2016-統計表』日本語版は、現在、日本ユニセフ協会ウェブサイト内の特設ページ(http://www.unicef.or.jp/sowc/data.html)でご覧いただけます。
統計データに加え、レポート部分を組み合わせた「世界子供白書2016」日本語完全版(PDFおよび製本版)は、本年8月末発行予定です。ご希望に際しましては、広報室までお問い合わせください。
■2016年のテーマは「公平性」
「子どもの権利条約」が採択された1989年以降、世界の子どもたちを取り巻く状況は大きな前進を遂げてきました。1990 年以降、世界の5歳未満児死亡率は半分以下となり、極度の貧困に苦しむ人の数も半数程度に減少しています。さらには、約 26 億人が改善された飲み水の水源にアクセスできるようになりました。初等教育学齢期の子どもたちの 90% 以上が小学校に就学しています。
2000年から2015年までのMDGs(ミレニアム開発目標)達成に向けた取り組みでは、平均値で見ると様々な前進がありましたが、その陰に格差も残りました。そのためSDGs(持続可能な開発目標)では、格差をなくす(“誰ひとり取り残さない”)ことを重要な柱にし、公平性の拡大を目指しています。
ユニセフの使命は、「子どもの権利条約」に則して、いかなる場合も、最も不利な状況に置かれた子どもや、最も窮乏している国への支援を優先することです。最も貧しい家庭の子どもであれ、最も不利な状況におかれている民族の子どもであれ、取り残された子どもたちにまず最大の力を注ぐことは、ユニセフの事業の要です。
『世界子供白書2016』では、公平性への道すじとして、ユニセフが過去26年間、そして現在も学び続けている経験や知見の中から、その達成に必要な5つの主な取り組み:置き去りにされている人々に関するデータの増加、各セクターでの支援の統合、新しい支援方法の導入、最も不利な立場にある子どもたちへの投資、コミュニティの参加について取り上げています。
詳しくは、世界子供白書2016特設ページをご覧ください> http://www.unicef.or.jp/sowc/