モバイルでのインターネット利用をリードする国は、スペイン・香港・中国
モバイル経由でのインターネット利用の普及は、西欧・アジア・北米など世界の幅広い地域で進んでいます。中でも2016年のモバイル利用率が最も高いと見込まれているのはスペインで、その割合は85%に上ります。次に香港(79%)、中国(76%)、米国(74%)、イタリアとインド(ともに73%)と続きます。
その後2018年までには、スペインに代わり香港が89%でトップの座を占めると予測されています。続いて中国(87%)、スペイン(86%)が入り、その次に米国とイタリア(ともに83%)、インド(82%)の順番になる見込みです。
スマートフォンの普及率は2012年から2016年にかけて2.4倍に
モバイル経由でのインターネット利用の拡大の背景にあるのは、モバイル端末の急速な普及です。60か国におけるスマートフォンの普及率は2012年にはわずか23%でしたが、2016年には56%と4年間で2.4倍に増え、さらに2018年には63%に高まると見込まれています。スマートフォンに比べて高級品であるタブレット端末の普及率はそれほど高くなく、2012年に4%であったのが2016年には15%、2018年には17%に達する見込みです。
スマートフォンの普及率が高いのは西欧とアジア
スマートフォンの普及率が高い地域は西欧とアジアに集中しています。国別で最も高いのはアイルランドの92%で、続いてシンガポール(91%)、スペイン(88%)、ノルウェー(86%)、韓国(84%)の順と推計しています。2018年には、アイルランド(94%)のトップは変わらず、次がスイスとシンガポールの92%、ノルウェーと台湾の91%になると予測します。
一方、タブレット端末の普及率は国ごとに大きく異なります。調査した60か国中10か国でタブレット端末の普及率は5割を超えましたが、10%未満の国も10か国ありました。特に人口比でこの60か国の27%を占める中国の普及率がわずか3%にとどまり、これが全体の平均値を大きく下げる要因となりました。また、人口比で26%を占めるインドの普及率も6%でした。タブレット端末の普及率のトップはシンガポールの75%、最も低かったのは中国とタイの3%でした。
2018年にはインターネット広告の6割がモバイルに
2016年9月に発表した『広告支出予測(Advertising Expenditure Forecasts)』でも触れましたが、世界のインターネット広告に占めるモバイル広告の割合は2016年の44%から2017年には52%に拡大し、2017年にはモバイル広告がデスクトップPC向け広告を上回ると予測されています。その後もこの傾向は続き、モバイル広告の割合は2018年にはインターネット広告全体の6割に達すると見込まれています。金額ベースでは1,340億ドルに上り、これは新聞・雑誌・映画・屋外広告すべての総額を上回る金額になります。
広告主へのアドバイス
このような市場変化を踏まえ、ゼニス社は次の通りアドバイスしています。
- すべてのブランドはデジタルコミュニケーションにおいて「モバイルファースト」の戦略を打ち立てる必要がある。モバイル端末上で最良かつ最も効果的な体験を消費者に提供できるように、ブランドサイトから動画広告まですべてのアセットを組み立てなければならない
- 広告主はモバイル端末だけにとどまらない消費者の行動様式をしっかりと念頭におく必要がある。消費者の関心は一日のうちに、タブレットからデスクトップPC、スマートフォンへと目まぐるしくシフトし、これにテレビが加わることもある。そのため、テレビからモバイル端末まで連動した一貫性のあるブランド体験を創り上げなければならない
- 広告主はコミュニケーション戦略を立案するに当たり、スマートウォッチや活動量計など他のスマートデバイスも含めたモバイルの全エコシステムを考慮しなければならない。消費者は特定のシチュエーションでより専門的なデバイスを使用する傾向があり、広告主はそれぞれの場面にマッチした細分化されたコミュニケーションを図る必要がある
「モバイル端末はすでに世界各国でインターネットにアクセスする第一の手段となっています」と、ゼニス社の市場予測担当リーダーのジョナサン・バーナードは述べています。「西欧やアジア、北米の国々がこのシフトをけん引していますが、モバイルテクノロジーは世界中至る所で急速に広まっています。来年はモバイル端末がインターネット広告の分野でも主役に躍り出るでしょう」。